2006年11月25日

欲と脳

 脳はよくコンピュータに例えられる。当然である。コンピュータとは、脳の仕組みを真似して作られたものだから。
 さて、そのコンピュータ。家庭のコンピュータでも、会社のコンピュータでも、学校・役所などの、どのコンピューターにもスィッチがある。スイッチがONされて、初めてコンピュータが立ち上がり仕事を始める。
 ならば、脳というコンピュータのスィッチは、どこにあるのか。
 それが「欲」である。あれが欲しい、これが欲しい、こうなるといいな、ああなるといいなという欲望が、脳を刺激して、ドンドンと大きく成長してゆく。
 しかも脳内での「欲」の神経節は視床下部。視床下部は本能や自律神経、さらには各種のホルモンの総本山である。
 ひとたび「欲」の感情が頭をもたげれば、視床下部はすぐさま活動開始。そして、本能や自律神経、さらには各種のホルモンが一斉に働き出して、視床下部は大活性化する
 視床下部が大活性化しては、脳全体してもぐずぐずしていられない。脳の各部に指令が飛んでゆく。かくして、脳は成長するのである。というわけで、「欲」という感情は、脳にとって非常に大切なキーワードとなる。
 困ったことに、わが国では、欲張りは嫌われ者。欲の心をグッと押さえての、素知らぬ顔こそ美徳とされている。これは大きな誤りである。欲張りこそ美徳である。今後は、胸を張って、「私は欲張りだ」と高言していただきたい。
 欲張りがどうして気に入らなければ、「意欲」と理解されたら、いかがだろう。
 処は東欧ブルガリヤ。当地の老人の意欲はものすごい。80才になった老人は、「オレは、80才の2倍までは生きるぞ」と張り切る。100才を越えた老人も、「嫁をもらいたいが、22,3才の良い娘はいないだろうか」と、真剣に探し回る。
 一方、世界NO1の長寿国ニポンの高齢者を見ると、意欲が全く希薄。「いつお向かいがきても構いません。待っているんです」と、いいながらの医者通い。
 そんな見え透いたウソを言わずに、「もっと長生きをするぞ、もっと長生きしたい」とわめくほうが、ずっと正直で意欲的である。その「正直な意欲」が脳を刺激して、もっともっとの長寿につながるのである。
 「欲」といっても幅が広い。金銭欲、名誉欲、性欲、食欲、知識欲など。だが「欲」であれば、何でも結構。「欲」という字が付いていれば、脳はイヤでも活性化する。
 また、ヒト特有の「羞恥心」という感情も重要である。とくに女性では、この「羞恥心」の多寡が寿命まで伸ばす力となっている。
 ある離島での健康調査では、服装が年より若い人は、血中のコレステロールが少ない。服装が年相応または年より老けている人は、血中のコレステロールが多かったと報告されている。
 「こんな服装ではクラス会に出れないわ。たれよりも豪華で美しく!」。これも、 羞恥心の仲間の「見栄」という感情の働きである。
 かって、「見栄は慎むべきもの」とされていた。しかし、その内容をじっくりと見てみると、イヤイヤ、どうして慎むべきもの処か、重要きわまりない脳の肥料である。
 羞恥心や見栄の感情が、おしゃれ心に拍車をかける。かくして女性ホルモンの分泌は増加し、対コレステロール、対ストレスの能力が高まり、長寿というご褒美を手に入れているのである。
 われわれは、毎日「周囲を囲まれての生活」をしている。ということは、周囲の確認は欠くべからざる行動となる。では、男性の確認能力はいかがであろう。男同士がすれ違った場合、ほとんど相手を意識しない。「おっさんが通る」はまだ良い方。中には「新聞紙がとんでゆく」程度の認識である。
 だが、女性同士がすれ違うと事情は一変。相手の頭のてっぺんから足の先まで、視線が2,3回も往復する。そして、相手の持ち物調べ。「あのバッグはブランド物、でも靴はセール品ね。それにしても、ブラウスがお粗末だわ」と、瞬時にして値段まで調べ上げる。
そして、次には相手に打ち勝つ見栄合戦が始まる。
 まさに見栄の塊。まさに確認能力の塊。だが、これだけの確認能力があれば、周囲の全てを把握して、何があっても直ちに適切な対処が可能。かくして女性の長寿と健康が全うされるのである。
動物界では、ほとんどのメスはオスより長命である。中でも、わが国の女性は、たくましく長生きである。もちろん女性の長寿には、ホルモン的な問題もあろう。遺伝因子の問題もからむだろう。だが、たくましく長生きの隠れた事実として、欲張り、羞恥心、見栄の存在を見逃すことは出来ない 。
posted by えいちゃん at 17:03| Comment(5) | TrackBack(0) | コラム
この記事へのコメント
なるほど!欲を肯定的に考えるということですね。先生の著作の廣済堂発行 背骨健康法156ページ禅僧に学ぶ無の境地 には、寝返りが一種の動物本能による背骨矯正運動であるとあります。この感覚や考え方は私に多くの理解を与えてくれました。拡大解釈すれば、座禅=武芸=日本舞踊=ヨガ、侍の感覚=芸者の感覚ということではないでしょうか⁈
あらゆる分野で欧米化が進んだ日本を改革するには、強烈な刺激が必要だと思います。具体的に言えば日本舞踊を踊るアイドルをつくらなければならないと思います。そのためには日本舞踊なんか解らない?古臭い?という一般的な日本人を教育して伝統的な美意識を理解してもらわなければなりません。教育改革が必要です。文部科学省に働きかけて伝統的な美しさにあふれた昔の日本に戻さねばならないとかんがえます。音楽や体育を江戸時代のものに戻すということです。ご理解ご協力頂ければと思います。よろしくお願いします。
Posted by at 2011年06月13日 14:02
Posted by 孕石泰久 at 2011年06月13日 14:06
Posted by 孕石泰久 at 2011年06月13日 14:18
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