現在はストレス社会。そして、ストレスを原因とする傷害に悩む人は非常に多い。
一方、医学の原則は「原因除去」。トゲが刺さって痛むならば、鎮痛剤より、まずトゲを抜こうという説である。まことに結構。だが待てよ。この大原則も、ストレス傷害には通用しにくい。
いくら上司がストレスの原因であっても、上司を消すわけに行かない。同様に、隣家のオヤジを殺すわけにも行かないだろう。大原則の「原因除去」が不可能なのである。
また、よく医師が口にする「ストレス解消」も、言葉明瞭意味不明で、実行は非常に困難である。ストレスの最大原因である上司が、真向かいにドデン。これでは、ストレス解消も無理だろう。
といって、ストレス嵐に身をさらすままでは、芸がない。ここで、発想の転換。無理の多い、ストレス解消を工夫するより、ストレスに強くなろうではないか。押し寄せるストレスを、ちぎっては投げちぎっては投げ、ことごとくはじき飛ばそうでなないか。
ストレスに痛めつられた脳内の状態は、「脳内騒然たり」と考えていただきたい。脳内には、知性・理性の前頭葉、記憶の海馬、やる気の側坐核、好き嫌いの扁桃体、ホルモンや自律神経の総本山である視床下部など。一家言をもつ名士たちが勢揃い。
この名士たちが統一的に仕事をすれば、万事OK。ストレス源である上司の存在さえかすんでしまう。でも、何かの拍子に統一の枠がはずれて、群雄割拠となれば、「脳内騒然たり」。ストレス戦争に大敗する。
ストレスに強くなる方法は、まず脳内の名士たちの足並みを揃えさせることである。そのためには、なにより脳内時計を活用し、生活リズムを整えること。もともとヒトは、正しいリズムが大好き。だからこそ、十年一日のごとき生活を好む。また、例年のごとく、お花見に打ち興ずる。
では早々に、リズム再調整による、ストレス抵抗力強化訓練の開始である。筆頭は、定刻起床の厳守。前夜の入眠が夜明け近くであっても定刻起床。定刻起床は1日の出発点。出発点がはっきりすれば、脳内の名士たちも足並み揃えて用意ドン。
また脳内時計を陰から支えるものは、規則正しい三度の食事も重要である。とくに朝食は出発点をより明確にし、昼食は、狂い始めた脳内時計を再調整する働きをもつ。
かくして、今日一日も無事終了。といっても、ストレス強化訓練は、まだ終わっていない。帰宅途中でのちょっと一杯。これはストレス解消の一助となるから、黙認しよう。でも、許されないのは、仕上げのラーメンの一杯である。
ラーメンは、予想以上に脂っこいし、消化にも手間がかかる。胃袋を初めとする、消化器は、本来の休息時間の夜になっても、作業続行。こうなると、脳内時計は、「ああ、、夜だんだ。それとも、朝だったのか、昼だったのか」と誤解して、狂い始める。
脳内時計が狂うと、時計のねじ巻き役であるメラトニンの分泌が狂ってくる。すると親戚筋であるセロトニンの分泌も、ついで狂ってしまう。
セロトニンの異常分泌は、ストレス抵抗力強化にとって、致命的なダメージとなる。セロトニンは脳というオーケストラの名指揮者。名指揮者があってこそ、脳内名士たちの足並みも揃う。そしてストレスに強くなる。
定刻起床、朝食と昼食の重要性、夜食の大食い厳禁。たったこれだけで、明日からストレス退治の名人。是非是非、トライしていただきたい。
2006年11月30日
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